松橋眼科クリニック

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白内障手術

白内障とは

白内障とは
  • 白内障は瞳の奥にあるレンズ(水晶体)が濁って視力が低下する病気です。
  • 白内障の進行を抑えるための点眼薬がありますが、実際の効果は不明です。薬で視力を改善することはできません。
  • 視力を回復するためには、手術で濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する必要があります。
  • 白内障は手術を急がないと手遅れになるということはありません。患者さんのご都合や体調に合わせて、手術計画を立てていただければ良いのです。
  • 緑内障の患者さんの中には、白内障が眼圧上昇の原因になっている場合があり、早期の白内障でも手術をお勧めする場合があります。
  • 認知症などのために手術の説明をご理解いただけない、手術中に安静を保てない、術眼の清潔が保てない、このような方には手術をお断りする場合があります。

スケジュール

予約 手術が必要であれば、まず予約をしていただきます。当院では火曜の午後が手術日です。約6ヶ月先まで予約が詰まっていますので早めに申し込んでください。
両眼の手術 両眼手術が必要な場合、当院では両眼を一度には行わず、通常は2週間以上あけて片眼ずつ行います。
術前検査 手術に備えて約1ヶ月前に詳しい検査を行います。
手術当日 約3時間前に来院していただき準備を始めます。手術室に入ってから退室までの所用時間は30分程度です。
術後 手術翌日、2~3日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後に診察を行います。

日帰り手術

  • おひとり暮らしの方や遠隔地からお出でになる方には1泊2日の入院をお勧めします。
  • 手術後にご自宅で介助が受けられ、翌日に外来へ送迎していただける方には日帰り手術をお勧めします。
  • 「日帰り」といっても入院室・病床を使用していただきますので「1日入院」の扱いとなります。
  • 通常は付き添い不要ですが、片眼を失明している方や身の回りのことがお独りでできない方には、付き添いをお願いいたします。

術前検査

  • 白内障手術を受けられる方には、通常の眼科検査の他に角膜内皮細胞、角膜形状、眼軸長の検査などを行います。
  • 手術に必要な血液検査と心電図検査も行いますが、他院での検査結果や健診の結果があれば代用できる場合もあります。
  • 全身病のある場合や検査で異常が見つかった場合には、主治医と相談し、また未治療の方は病院へ紹介して手術の適否を判断します。

眼内レンズの選択

眼内レンズの選択
  • 手術の前に患者さんの眼を計測し適した眼内レンズを選択しますが、術後の屈折度数には多少の誤差が生じます。また強い乱視のある眼では術後も乱視が残ることがあります。したがって最良の視力を得るために眼鏡が必要になるのはよくあることです。
  • 通常(健康保険適応の)単焦点眼内レンズは度数が一定ですので、術後にはっきり見える距離も一定です(遠くも近くもはっきりと見えるわけではありません)。
  • 術後に遠くが見やすくなるよう眼内レンズを選び、近くを見るときには眼鏡を使うのが一般的ですが、もともと強い近視の方は近くが見やすくなるようレンズ度数を選ぶ方が良いと思います。
  • 多焦点眼内レンズは遠方と近方に焦点をもつ遠近両用レンズですが、単焦点レンズに比べてコントラスト(鮮やかさ)が低下し、光源からの光のにじみ(グレア・ハロー)などの症状を自覚することがあります。
  • 遠近両用の多焦点眼内レンズを挿入する手術には健康保険が効きません。基本的には手術費用は全額自己負担になりますので、現在、当院では実施していません。
  • 多焦点眼内レンズ手術を希望する方は、先進医療実施施設にご紹介します。
  • 最近、焦点深度を深くした単焦点眼内レンズが保険適応になりました。遠方から中間距離までが見やすくなるというもので、当院でも使用可能です。

手術前の注意

  • 手術前に体調が悪くなった場合には主治医にご相談いただき、手術を延期する場合にはすみやかに当院へご連絡下さい。
  • 常用しているお薬は手術当日も服用を続けていただきます。入院中に薬が不足しないよう持参して下さい。まれに数日前から薬の服用を休んでいただく場合もあります。不明な点は医師・看護師におたずね下さい。
  • 手術当日は化粧をしないでお出で下さい。

手術方法

前処置 手術室に入る前に血圧を測定し、点滴注射で血管確保し、点眼薬で麻酔します。
入室 手術台に上がったら血圧・心電図モニターをつけま、眼の周りを消毒液で洗浄しますが、その際、声を出さないでください(自分の唾がかかり不潔になります)。清潔な布を顔にかけた後は声を出しても大丈夫です。
麻酔 眼の周りに麻酔の注射をしますが、顕微鏡の照明やまぶたに触れる感じはわかります。また手術中に眼の向きを指示することがあります。円滑に手術を行うためにご協力下さい。
白内障手術 白内障手術 角膜(くろめ)と強膜(しろめ)の境を小さく切開して手術器具を挿入し、白内障を砕いて吸引します。
透明な水晶体嚢(カプセル)を残し、その中に眼内レンズを挿入します。
手術が困難な場合には、時間が延びたり方法が変更されることがあります。

手術が困難な場合には、時間が延びたり方法が変更されることがあります。

手術中の注意

  • 手術中には不用意に動かないで下さい。思わぬ事故につながることがあります。身体を動かしたくなったり、咳が出そうになったら、その前に申し出てください。
  • 痛いと思ったら我慢しないで教えて下さい。麻酔を追加します。
  • 途中で尿意を覚えたら我慢しないで申し出て下さい。手術の途中でも処理はできます。

手術後の注意

術当日 病室に戻り点滴が終るまで約30分安静にしていただきます。トイレや食事は通常どおりで結構です。日帰りの方は全身状態を確認し、術後の通院と薬の説明をしてからお帰りいただきます。
術翌日 翌日の診察後はご自分で点眼薬を点眼していただきます。眼をこすらないよう打撲しないよう注意して下さい。
保護眼鏡 術後約2週間は眼帯または保護眼鏡をつけていただきます。ご自分の眼鏡を使用する場合には医師・看護師にご相談下さい。
入浴・洗髪 術後3日目までは周りを拭くだけにして下さい。4~7日目には眼が汚れないよう(フィルム眼帯を使用して)注意して入浴できます。片眼も不自由な方は無理をしないで下さい。1週間後からは普通に洗顔・洗髪して結構です。
仕事・スポーツ 術後4日目からは軽い家事が可能です。1週間目からは軽い運動、車の運転が可能です。園芸、農作業、水泳などは1ヶ月以後にして下さい。

患者さんの自己判断で通院や薬を中断しないで下さい。

手術のリスク(合併症)

細菌性眼内炎

白内障手術は安全性の高い手術ですが、まれに術後合併症を起こすことがあることも、予めご承知いただかねばなりません。

後嚢破損 眼内レンズを固定する膜が破れることです。比較的多い合併症で(2.5~4.1%)、その程度によっては、レンズのずれや落下、黄斑浮腫、網膜剥離、眼圧上昇など様々な合併症の原因となります。
感染性眼内炎 手術中や術後に細菌・真菌などの病原体が侵入して起こります。術後2~3日目に発生することが多く、頻度はまれですが(0.06~0.14%)失明の恐れがあり、多くは再手術が必要になります。
駆出性出血 手術中に突発的におきる出血で、頻度はまれですが(0.03~0.13%)、いったん発生すると手術の続行は不可能です。再手術を行っても視力回復は困難です。
角膜障害 白内障手術によって角膜内皮細胞は約15%減少すると報告されています。術前から角膜内皮細胞が少ない人には、手術を慎重にしないと、術後に角膜が濁ってしまう恐れがあります。

術後合併症ではありませんが、たとえば糖尿病網膜症、緑内障など他の眼疾患のために、視力が回復しない場合があります。術前にはこれらの病気の有無についても検査しますが、白内障に妨げられて確認できず、術後に見つかる場合もあります。

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